相続手続きサービス|大野城市西鉄下大利駅前司法書士行政書士斉藤事務所

認知症の方がいる場合の相続手続き

相続人の中に認知症・知的障害者がいる場合に遺言書を作成していなかった場合は、その方の判断能力の程度にもよりますが、成年後見制度を利用することが必要になります。つまり、物事の正しい判断がきちんとできない方にとって、遺産をどのように分けるかという遺産分割協議を行うことができないので、法定代理人を立てる必要があるのです。任意後見人を定めていない場合は、成年後見制度を使って、家庭裁判所において成年後見人の選任をして遺産相続手続きを進めることが必要となります。

 

成年後見人の選任をせずに相続手続きを進めてしまうと、遺産分割協議は法律的に無効となってしまいます。

 

成年後見制度は法定後見制度と任意後見制度とがあります

 

法定後見制度は、家庭裁判所において成年後見人の選任を行います。
法定後見制度は、判断能力がかなり低下してしまった方を対象として、本人の判断能力に応じて「後見」「保佐」「補助」の3つの制度から家庭裁判所が選択します。

 

「後見」・・・精神上の障害により判断能力を欠く状態にある方
「保佐」・・・精神上の障害により判断能力が著しく不十分な方
「補助」・・・精神上の障害により判断能力が不十分な方

 

任意後見制度は、まだ本人に十分な判断能力があるうちに、将来判断能力が低下した場合のことに備えて、予め本人が選んだ任意後見人と公証役場で任意後見契約を結びます。契約後実際に本人の判断能力が低下した際、家庭裁判所に任意後見監督人の選任申し立てを行い、任意後見が開始します。

 

後見制度の注意点

 

成年後見人などに親族が選ばれるとは限らない
現在、家庭裁判所で選任される成年後見人の7割以上は弁護士・司法書士・社会福祉士といった職業後見人といわれるような第三者が選任されます。子供が親の成年後見人に願い出ても家庭裁判所で却下されるかもしれません。
またワンポイントの成年後見人は認められませんので、預金の解約のために成年後見制度を利用したとしても被成年後見人が亡くなるまで後見業務は続きますし、職業後見人には報酬も発生しますので注意が必要です。

 

成年後見人は本人のために職務を遂行しますので、本人に不利となる遺産分割協議を行いません。
通常の遺産分割であればどのような割合で分けるかは自由に定めることが出来ますが、成年後見人が参加した遺産分割協議では、法定相続分を本人のために確保します。

 

遺産分割協議のために成年後見人に子供がなっても遺産分割協議に参加できないことも
例えば、父が亡くなり、相続人が母と長男の二人で、母が認知症で法定後見制度を利用して、長男が成年後見人となった場合、相続人である長男と母の成年後見人である長男は利益相反になるのでが遺産分割協議が出来ません

 

この場合は家庭裁判所に特別代理人選任の申し立てを行います。但し、成年後見監督人がいれば、成年後見監督人が代理人となるため、特別代理人を申し立てる必要がありません。

 

生前の対策により相続手続きをスムーズに
認知症等の判断能力が低下した方がいらっしゃる場合は、預貯金の解約、不動産の名義変更等が面倒になります。

財産を遺産分割協議の対象から外しておくことで認知症の方を遺産分割協議から除外できます
@遺言書を作成しておく
A生前贈与で名義を移しておく
B家族信託で名義を移しておく